真夜中の病棟で

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真夜中…… のはずだったのに、いつのまにか、あたりは、夕暮れの風景に変わっていた。 しかも、昔、草野球をして遊んだ広場。 いつのまに。 病棟から出てきたときには真夜中だったから、どこから庭に出たのか、よくわからなかった。 後ろを見ると、たしかに病棟の建物が見える。 ここは、病院の庭だ。 でも、その中に、なぜか、昔遊んだ広場があって、僕は、今、その中にいる。 さやちゃん? そのとき、僕は、初めて気づいた。 夕日を浴びた女の子が、さやちゃんだということに。 昔、僕たち男の子たちは、毎日のように広場で草野球をしていた。 さやちゃんは、すぐ隣の公園の隅にあったブランコに腰掛けて、僕たちの草野球を見ていたが、自分もやりたいと言って、時々は、キャッチボールをしたこともあった。 いつだったか、帰りがけに、さやちゃんが振ったバットに僕が投げたボールが命中して、それが、びっくりするほどの大当たりで、そのまま、どこかに飛んでいってしまったことがあった。 どこかの木にでもひっかかってしまったのかもしれない。 そう思ったけれど、さやちゃんは、空まで飛んで行ってしまったと言って、ほんとうに、そう、思っていたらしい。 そう言われると、何だか、僕にも、なんだか、本当にそんなふうに思えるのだった。 でも、その広場、公園が、何でこの病院の庭の中に?
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