伊豆高原

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待合室で杏奈ちゃんと待っている時間はとても長く感じられた。 救急処置室の中からはバタバタという足音と、医療用語が聞こえてくる。 震えている杏奈ちゃんを抱きしめながら、杏奈ちゃんのお父さんとお母さんが意識を取り戻す様に祈っていると、ポケットの中のスマホが振動している。 琴葉からのLINE電話だった。 「杏奈ちゃん、お姉ちゃん、ちょっと電話をしてくるから、ここで待っていてね。 すぐに戻ってくるから」 杏奈ちゃんの目を見て話しかけると、杏奈ちゃんは涙を浮かべながらもコクリと頷いてくれた。 杏奈ちゃんの手を握ってから、病院の外に出て琴葉にLINE電話をかける。
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