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毎週金曜の夜、私はこの青いシーツに横たわる。
くたびれて皺の寄ったシーツを、彼が最後に洗濯したのはいつだろう。
空は少しどんよりとしていたが、まだ暑さの残る9月の午後、何とかなるだろうと洗ったシーツや枕カバーをベランダの物干しに広げる。
昼過ぎに起きてすぐ
「2~3時間、友達と飯食ってくる」
と言い残して、彼は部屋を出た。
今頃、自分に好意がある “女友達”と楽しそうにご飯を食べているだろう。
約束は前から決まっていたくせに、2時間かけて会いに来た私を部屋で待たせることなど、気にする必要などないと、いつも好き勝手にふらっとどこかへ出掛けてしまう。
合鍵も持たされていない私は、何処へ行くことも出来ず、仕方なく先週買った食パンを食べて、テレビを眺めていた。
裕福な家庭で育った彼は、大学の近く、親が借りたマンションで一人暮らしをしている。仕送りで足りない分だけ、たまにバイトをする程度で、この上層階の綺麗な部屋でゆったりとした生活を送っていた。
今まで親任せだったこともあり、家事が苦手な彼は、動き出すまでがとても遅い。週末だけ泊まりに来ることがすっかり習慣化した頃には、部屋の掃除や洗濯は私の仕事になっていた。
彼がいないうちに、掃除もしてしまおう。
私がいない時間に溜まった汚れ、彼の生活の足跡。
洗い物が少ないのは、外食ばかりしているのだろう。人気者な彼は、いつも周りに誰がいた。
それでも週末を私に割くのは、まだ愛情があるのだろうか。
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