1人が本棚に入れています
本棚に追加
"もうすぐ帰る"と連絡が入り、
私はベランダへ向かう。
少し目を凝らせば、遠くから歩いてくる彼がそろそろみえるだろう。
わざと私を悲しませた後は、決まってコンビニでアイスを買ってくる。今日もきっとそうだ。
私は「ありがとう」という。嬉しそうに。
彼の罪悪感を消すために、気にもしてないふりをする。彼が自分を善人だと、思い続けられる様に。
あの建物の角から姿がみえる。
あとは真っ直ぐに、私に気付かずに、歩いてくる。
この瞬間だけは、私は彼を見つめていられる。
空は少しどんよりとしている。
青いシーツは未だ重たげに、風にひらめいている。
きっと乾いても、おひさまの匂いはしない。
最初のコメントを投稿しよう!