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大きなバスが1台止まった。
いわゆる観光バスみたいな大きなバスだ。
白いボディには、会社のロゴが、アルファベット表記され青と赤と黄色のラインが虹のように入っている。
このMother専用のバスだ。
「おい!新人達っ!手荷物以外
ここに入れろ!」
もう一人の男性指導員、石井さんよりも年上の人、木崎さんが私たちに声をかける。
木崎さんの印象は、ムキッとガッチリとしたゴリラみたい。
「ねっ♪あの人かっこいい!」
私とのちのち親友のひとりとなる
竹田優子…通称ユッコ。
ふわふわの可愛い線の細い女子が
私の後ろに隠れて木崎さんを覗き見ている。
ちょっと呼吸荒いぞ!
竹田さん可愛らしいのに、あのゴリラさん…
いやいや…ゴリさん?
あっ!ダメダメ…木崎指導員。
かっこいい…かなぁ?
いかにも体育会系でハキハキとしてる
このイカつい人。後で自己紹介で知ったけど
私たちの10歳上!
生産だか、品質管理の人らしい。
野球部で未だに現役で強打者だとか。
「ほらほら~♪そこの女子二人っ!
荷物バスのお腹に入れて」
木崎さんにきゃいきゃいな竹田優子さんに気を取られ固まっていた私。
それに声をかけてきたのは、品管の女性社員羽柴さんで、この人の印象は背筋の伸びた
真面目な人って感じ。
石井さんの同期みたいで、なんか親しげ?
「はーい♪」
私と竹田さんはそれぞれ、ボストンバッグ、トランクを抱えてバスの方へ走った。
このバスの行先は、S県H市。
一番大きくてリッチなホテルへ向かう。
そこで入社式。
社長などの幹部やらお偉いさんが
既に前乗りしているそう。
ちなみに日本全国の高卒の新人が
営業部、デザイン部、製造部…その他もろもろすべて集まるという。
「ここで研修か~!」
ホテルのパンフレット貰って、
このバスに乗っている新人達が
喜ぶ声をあげた。
もちろん私も。
ホテルには研修室やらなんやら、様々な
施設もしっかり綺麗な写真であり、
素敵な環境で二週間の研修をするものだと
この時は思っていた。
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