就職初年度…春の事

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到着したホテルはとにかくすごくて、 私達Motherと西工場の新人は、感嘆の声をあげた。 吹き抜けの広いエトランスホール。 下げられたシャンデリアは、とにかくキラキラ。 床は大理石?それとも大理石調? 館内全体がなんだかふわりといい香りがして うっとりしてしまう。 手にしてるパンフレットの綺麗な写真と同じ?いや、それよりも…すげぇ! 「やっぱり…この会社… めちゃくちゃすごいんだ…」 実業団繋がりだけど入ってよかった、大学進学やめてよかった! こんな雰囲気は何年ぶり? 私は、ちょっと思い出した。 えっと…… 中学二年の時だったかな? 忘れちゃったけど、当時の剣道部の主将してい親父の卒業した高校、K高の後輩にあたる人、私を赤ちゃんの時から知っている人。。 えぇと渡辺さん? あの時は28歳位? 「お嬢っ!ボン達(弟達) パーティ行くぞ! あっ!山口先輩っ!お嬢お借りします!」 クリスマス近くの週の土曜日。 渡辺さん?はいきなりやってきた。 中学時代はちょうど「バブル期」ってやつで なにもかもキラキラしていて、人も生活も 生き生きしていた。 パーティだからって、普段強面の人がスーツ着ていて、少女心にちょっと怖いなんて思ったのは内緒 「渡辺のお兄さん」と弟達は呼んで来ると 喜んでいたっけ。 その時は中学の制服で出かけた私達姉弟。 私の通っていた中学 制服は公立なのに可愛いから。 丸襟のブラウスにジャンバースカート 上着はボレロ型でエンジのほっそいラインが 上から下へ2本づつ走ってる。 ちなみに中一の弟は学ラン。 年が離れた末っ子は幼稚園の制服。 その会場は、今日みたいな大きなリッチなホテルで、中央線で向かった。 「お嬢っ!せっかくだから いっちょいい服買ってやろうか? 先輩がいたら言えんが、 中坊に見えんほど大人っぽく育ったな だからあんなの着てみようぜ!」 なんて、親指でこっそり指さすのは、 おっぱいもくびれもお尻も 形がくっきりなミニのドレス? スーツ?着た女の人。 足はヒールの高いハイヒール。 スケベ過ぎだよと言おうとしたら 「姉ちゃんに似合うわけない 中坊ッスよ!」そう弟がすかさず言ったっけ。 そんな馬鹿な話しながら着いた先が こんな風にすごいところ。 通された部屋はめちゃくちゃ広い。 普段は結婚式の披露宴とかで使われる 舞台付きの部屋だった。 クリスマスパーティだから、大きなツリー飾ってあって根元にはたくさんの箱 リボンや花で飾られて……。 この時行ったパーティは、本社中心に東京地区の営業や製造。 もちろん剣道部一同も招かれていて……。 「お子さん向けのイベントもあるからなぁ」 幼稚園の末っ子を肩車して渡辺さんは 私達姉弟を連れて時に挨拶しながら会場内を歩く。 そんな中……たくさんの綺麗なお姉さん達に 囲まれている男性五人組がいて 「相変わらずモテんねェ」 なんて渡辺さんはニヤニヤ。 でも、その中にお姉さん達に何か言われても愛想無い男の人を見つけ 「おいっ!乾ッ!少しは愛想良くせんかッ!」 なんて言っていたっけ……ん? 乾さんにこの時も会ってるか? その名を聞いて 「乾さぁーん!お久しぶりです」 だっ!と走り出した弟がいたなぁ そんな事思い出した。 その時のクリスマスパーティーのたくさんのごちそうが一番印象深かったし、お土産も凄かったし。
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