就職初年度…春の事

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席に戻るとそれぞれに社章を付ける。 これで終了となる、……そう思ったら ホテルの従業員の人達が、一斉に入ってきて 各工場の円卓を素早くセッティングして行く。 中央には入社式だから花が飾ってあった。 「ささやかですが……新入社員の皆様の 入社祝いとして…」 司会役の指導員の女性アナウンスが 場内に響く。 その中私の耳は聞き逃さなかった言葉がある。 「フルコース」 という言葉。 そして各テーブルの空いた所には 舞台上の社長はじめとした幹部? そして指導員の方々が着席した。 私達の席には、座学教育を今後担当する 榎木さんという優しそうなおじ様と、 「よォ!お嬢っ!」 って、あきらかに知ってる顔。 「!!」 この席に座ってる私をのぞく三人の 同期の女子達は……あっ!いやいや、 ユッコは平気だったか、なにしろゴリさん…いや、木崎さんをかっこいいと思う子だ。 「え〜なに?なに?グッチィ♪ この人…知り合いなの? カッコイイね」 コソッと耳打ちやっぱり!カッコイイと思ったか。 「うん、ガキの時からのお知り合い」 斜め前に立つ人を見ながら言う。 「おおっ!久しぶりだなぁ! 渡辺っ!」 榎木さんが、にこりとする。 渡辺さんは知ってる人。 しかも、私が赤ちゃんの時から知ってる。 私の親父の卒業した高校は、十年くらい前までは剣道で当時強豪と呼ばれた 『K学園K高等学校』その後輩の人。 これから先、お世話になり続ける人。
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