就職初年度秋…かっこいい娘 (慶司18歳)

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俺が、山口 (きょう)を知ったのは 渡辺監督兼主将からだった。 「山口....?響…?…響…か…… あぁ俺の出た高校の大先輩の娘だ 大きな目の可愛い子だった そうか....入るのか…ここに…。 …剣道…続けていたか… よかった…。」 印刷課で、俺の指導員の乾さんは 嬉しそうに白い歯を見せる。 もうじき2階の仕上げ加工課に異動になる俺の直接指導員で、剣道部の先輩。 この会社の製造部門の主力工場。 通称……Mother。 勤務体制は3チーム3交替。 週休二日制で、5日間はほぼ24時間稼働している。 製造部署は、現場は印刷課 と仕上げ加工課 の二部門。 俺は印刷課。新人はスタートはここからだ。 乾さんは今年六年目、会社の制度で交代勤務の間に大学行って、一応、大卒ってやつだ。 凄くクールで仕事も出来るから、昇格して1チームのアタマ・直長になるのに、それを蹴ったちょいと変わり者。 己の知識と技術を磨きたいからとか。 直長=係長=そのチームの実質的課長 肩書き着くのに。 この会社の経営の一族とか何とか噂あるけど 実際は違うだろう。 社長の名前違うし。 そんな事で俺が最後の弟子となる。 男の俺から見ても惚れ惚れするいい男。 俺達三十期の6歳上、俺は早生まれだから七歳上。 この間グループ全体の剣道大会で、連続で今年も頂点極めた人だ。 ちなみにこの人モテる。 モテるけど会社内の女性には興味ない。 一応好きな人いるんだって……。 石野先輩は教えてくれた。 だから心動かないのか?どんなに綺麗な人でも胸やケツが見事でいやらしいエッチな女でも。 感心していたら、違うって(笑) 「ちょっと溜まったら祐也盛り場行くんだよ」 黙っていても女からやってくる割り切りの関係。 ワンナイトラブをして……いや、ラブじゃないなぁ。 誰とでも寝る女は玩具なんだ そう言いきって、かなりの数喰ってるらしい。 見た目は清廉潔白の美丈夫な乾さんの裏の顔。 高校時代からそんな遊びしていた事を 俺は驚いたけど、でも…男だから有り? 知ってるのは石野さんはじめとした 剣道部の四人の男達だけ……。 「たまに俺らもおこぼれ預かるけどな 長瀬君今度行くかい?」 って……俺も誘われたから、裏の顔知ってる一人か。 誘われたけど、俺は行かなかった。 「長瀬くんさぁ祐也に負けないから 2倍以上、女の子よってくるぜ~♪ この間…良平(山本さん)が贔屓んとこのソープ連れていってもらって 高い女と筆下ろししてきたんだろ? お前と小泉と古畑……3人でさ 聞いたぜ、お前だけだったんだって? チェリーなの 地味めなのは経験済みで彼女持ち」 俺のその所謂筆下ろし、それは…最低最悪の 一言だった。 性欲の発散……?何それ? あの日は思い出しても不快すぎる。 性欲の発散で割り切りの関係…なんて 俺には無理。 無理無理無理ッ!絶対に無理ッ!
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