就職もうすぐ二年目…冬から春へ…(慶司やっと19歳)

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「…う〜ん……それにしても、長瀬ぇ…… 全く顔に出ないのな……」 カラオケも終盤。 その間に、様々な酒を飲ませて頂いた。 個人的に好きなのは、グレープフルーツサワー! 普通、色んな種類を飲むとかなり悪酔いするらしい。 なるほど……、確かに周り見ると俺みたいに次から次へ飲んでる人って、いないな。 みんな飲むペース落ちてきて、中には烏龍茶の人もいて……。 「うーん?そうっすかァ? すげー美味くて…どんどん飲めちゃいますけどね!」 少し濃いめの水割りをゴクリと飲み干す。 その様子見てる先輩方は俺にこう言った。 ザル……それも網目のデカすぎるザル その夜は、酔ってるみんなをそれぞれ部屋に送りお開きとなった。 ちっとも酔ってない俺は、大好きな温泉に行った! ここは温泉ホテルと言うだけあって、最高にご機嫌な良い温泉で……星空眺めて露天風呂でグーンと手足伸ばした。 マジで幸せな時間だ。 季節は巡り……、待ちに待った春がやって来た。 四月一日の入社式。 バスに乗って、今年度の新人達が研修合宿所へ向かって出かけて行く。 その日の10時過ぎた辺りの事だ。 製版室へ行ってオーダーの後、通路に出た時 スーツを着込んだ工場長と、渡辺さんがいた。 聞けば……、これから今年度の入社式へ 出かけるという。 「今年の新入部員に会ってくるからな!」 にしし……と楽しそうな渡辺さんに、 「今年は剣道部二人か…」 工場長が聞くとうなづく渡辺さん。 「それから……久しぶりの女子部員ッスよ…」 女子部員?あの娘か? 思い出すあの大きな瞳と、唇尖らして怒る顔。 もう1人の新人は、アイツかな? 堺さんの後輩の城島ってヤツ。 なかなか面白いヤツで、剣道もなかなかだ。 ちょっと顔はうろ覚え。 なによりも、あの娘に会う工場長と渡辺さんが羨ましい。 「何も知らないでアイツら大喜びだろうな~♪一流ホテルで入社式だもんナ…」 ククっと笑う渡辺さん。 「可哀想だが、通過儀礼だよ。 我社の製造部門の……なっ!」 工場長は渡辺さんに言い、 「そう言えば、キミ長瀬くんだよな? 一ヶ月遅れで去年の五月に入社した渡辺の取っておき 君はここで入社式と研修とだったから 知らなかったんだよな。 ある意味、」 その意味は、後ほど4月入社のほぼ同期の 小泉に聞いてハッキリとする。 ……どうか…無事に研修終えてきてくれ! 俺は切に願った。 俺の後輩になる新人二人の無事を 特に山口響の無事を…。 厳しすぎて脱落者アリの 研修合宿なんだよ… 実際は…。
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