就職二年目…春 (慶司19歳)

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俺が暮らす会社の独身寮。 ……と言っても会社の借り上げのワンルームマンション。 Motherまでチャリで約20分。 坂と通りを挟んで住所的には、隣の市になる。 近くにはMother・Factoryの第二工場、通称『Mother2nd』があって、元は小規模の同業社を吸収してそこの社員とMotherから来た数人の社員と共に運営している。 それが出来たのはほんの少し前。 Mother自体がでかくなってきて、そこを印刷課と1部の加工をそちらで担ってる。 同じ市の山の方の地名の町には、特に加工に特化した専門部署もあって、こちらは通称『Mother3rd』。 ちなみに現在のMother2ndは、その同業を完全に吸収合併し、正式にMother2ndという工場に生まれ変わるという そこの社員や社長とかはどんな扱いなんだろうか? まっ、小難しい事は今の俺にはわからない。 そのワンルームマンションに、俺の一期上の先輩堺さんの後輩の城島道真って奴が入居した。 通勤するのに交代勤務で支障をきたすという 理由で俺のいる二階の奥の空き室に入居してきた。 この会社の独身寮は、Motherと西工場勤務のそんな理由の男の社員が10年を目安に暮らす。 俺も都内だけど遠いからそこに入寮した。 会社借り上げマンションなので、かかる費用は家賃はほとんどかからないが、水道光熱費は自分持ち。 城島と堺さんの二人は、共に現在進行形で強豪校・S学園高等学校(男子校)を卒業した。 堺さんは元々こっちの地元民で、高校時代はS高の学生寮。 城島はS高の地元で、自宅通いだったが都心から離れた今は、この寮に入寮した。 今度は逆なんだと笑っていたっけ。 入寮した日は、三月最後の金曜日。 その翌日土曜日に、有志で剣道部稽古を 副主将の乾さんが計画していた。 「堺の後輩が入社する、 入社前に歓迎稽古してやろう。」 てな感じだ。 ンで、稽古に俺も参加したわけだ。 城島は、本社の主将の諏訪さんと同じ上段使いだった。 コイツ自体は、堺さんほど有名じゃないけど 荒削りな上段は気持ちいいくらいに豪快すぎるくらい、豪快。 迷いのない初太刀が全ての上段。 スカウトされても不思議じゃない。 稽古の機会が巡ってきた時、そう感じた。 俺は中段だけど、荒削りで迷いなしで ある意味無敵と言われるけど……、この城島って奴にゃ、さらに気合い入れないとこいつに持っていかれちまう。 ライバル出現?嬉しさ半分焦り半分? そんなやつだけど、死ぬほど人懐っこい。 四月一日の朝。 俺は一直、朝7時半までに出社しなきゃならない。 研修の集合時間には、早いだろうにスーツ姿で、自転車(チャリ) で着いてきて、この様子を見かけた職場の先輩達に 「おっ!なんだぁ長瀬くん!城島をさっそく舎弟にしたのか?」 なんて言われちまった。 今年の新人は城島含めて男子20名の気になるあの娘含めた女子4名だそうだ。 ……と言っても、去年あったあの娘、山口響がいたのか? わからなかったが、入社式へ出席する渡辺監督(この春から監督)の話で、入社する事確信した。 俺が知らない四月定期採用の研修の内容はどうなのか?それを経験した小泉達に聞いてマジ?と、聞き返す内容だった。
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