高校三年生…18歳の秋…出会いの0(ゼロ)

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「なぁお前か?今度入る奴って」 視界に爽やかな笑顔が入った。 凛々しい顔つき。たぶんハンサムの部類。 茶がかった瞳が素敵。 その瞳と同じ様な色の髪。 そしてこの声……。 この人……って?まさか ドキリとしながら左袖を確認する。 白生成の道着袴姿という事はここの選手。 近い未来、私の先輩となる人。 左袖の刺繍は……『火』? 『火』という事は……? この人があの試合の……長瀬さん?なの? そう思い聞こうとした瞬間! 「お前さぁ部長達の高校の二軍潰したって ほんと!? ○○女子ってさ剣道は無名じゃん スゲェな!」 一方的に目をキラキラさせてまくし立てる 声が、ちょこっとハスキーで聞いてて心地いいのになんかね残念かも。 見た目と違って残念かもしれない。 「あの〜正確には中三の時です そんな昔のこと言わないで下さい それより先に名を名乗れば」 口を尖らす。私の心をときめかせた剣道をする人がなんだかちょこっと違う。 爽やかなお兄さんをイメージしていたのに! いや、実際私より年上なんだけど。 「ふっ…なんかお前面白いな」 その人は、たぶん長瀬さんは 突然私のお弁当に手を伸ばし 「いただきッ!」 唐揚げをつまみかじりやがったッ! 「あっ!な……私のッ!」 私の唐揚げに何をと言いかけた時 「俺は長瀬……長瀬慶司(ながせけいじ) 覚えておけ、待ってるから」 爽やかな明るい笑顔で 人の唐揚げ食ってカッコつけてる。 素直に言えば、見た目はかっこいい。 背も高いし、道着と袴を正しく美しく着装するそのスタイルも実にカッコイイ。 好きなタイプかもと思わず見とれていたら さらにエビフライ持っていかれた。 「こらっ長瀬くん!」 同時に山木さんが怒ると 「ははっ♪挨拶…挨拶ッスよ!」 長瀬くんと呼ばれた陽気なハンサムは 「じゃあな~山口 響っ!」 手を振って逃げていく。 「なにが挨拶なのよッ!女の子のびっくりさせて びっくりしたね山口さん あとであまったお弁当あげるからね♡ 一応、今の子の説明しとくわね あの子はあなたと、城島くん 、ふたりの先輩になるしね 長瀬慶司(ながせけいじ ) 無名高だけどまだまだ強くなりそうなの あー見えて仕事も真面目でいい子だよ ウチの会社強豪高ばかり集めてたけど 無名でもいるの、キラっとしてる子 山口さんも本社の人が見つけてきたのよね でもねたいていの女の子 入部するけど一年持たないのよ 着飾る事女の楽しみ見つけてのめり込んじゃうのよね....大丈夫よね?山口さん」 「大丈夫です こんなに楽しそうな剣道部なのに 辞めたら損しちゃうかも」 「春、待ってるね さぁ今度は団体戦みましょう」 この日がたぶん出会いの0 運命の人と変な出会い方をこの時 私はしてしまったのです。 もちろん、お弁当もうひとつもらったよ。
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