就職初年度…春の事

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四月。 桜の花が咲き出した頃、私はP○○-○○es㈱に無事に入社した。 入社式というものは学校と同じで その会社でやるものと思っていた。 けれど、そうではなく『白い要塞』つまりこの会社の製造部門、 日本全国の中心Motherファクトリー 通称Mother。 ここで入社式も研修もするわけでなくて。 午前中にMotherに入社予定の新人 女子・私を含めた4名。 男子・20名。 合わせて24名は、Motherの正門の中にある シャトルバスのバス停留所にもなってる 中央館の自販機とたくさんのベンチのある 場所に集合していた。 みんな揃いも揃ってスーツ。 大きな荷物には、合格手続きとった後 速やかに採寸され、今日初めて渡された 男子は作業着、女子は事務服を手にしてる。 私が手にしてるのは事務服。 「えっ?私オペレーター希望なんですが…」 剣道部のほとんどが製造部の オペレーターと聞いていた。 作り出す仕事してみたいってのもあって 面接官には、 「製造部の…現場で 製品を作ってみたいです」 そう希望伝えといたのに……。 「キミは既に検査課に決まってる 検査主任が……あっ女性なんだけどな うちの検査に欲しいッてさ 磨けば光る原石ってヤツ? それよりもこの写真じゃ髪長いのに なんで髪切ってんの??」 Motherからの指導員のひとり 石井さんと言う男性に言われた。 顔はおとなしめの真面目な感じの人。 野球部では強打者なんだって。 野球部に入部予定のまだ名も知らない同期が 言っていたっけ。 今年の指導員は、男女2名づつ。 今年は男性は野球部が担当。 女性は弓道部だという。 体育会系の実業団チームが多いのが特徴の P○○-○○es㈱。 普通に文化系もあるらしく、他の工場では 茶道のサークルの所属の人もいた。 その石井さんが指摘するように、 今の私の髪はショートカットだった。 研修に邪魔になるから切った。 そう言ったら、もったいないだって。 そうそう、あとから知った情報で 去年の秋に出会った山木さんという女性。 彼女は製版課と言う所にいる。 ちなみに旦那さんは、技術課で無いネジまで作り出す工場の医者みたいなことしてる。 それからあの人。 私のエビフライと唐揚げを取った男。 長瀬慶司(ながせけいじ)。 あっ……いやいや仮にも先輩だ。 呼び捨てはダメ。 長瀬さんは印刷課。 私の事をよく知っている人剣道部副主将の乾さん。ちょこっと思い出したけど小学生時代の私と西村が憧れた高校剣士だった乾さんと同一人物だった。 『兄ちゃん』なんて呼んで慕っていたらしい。 ……なんで忘れてしまったんだろう? よくわかんないからいいか。 その長瀬さんは、剣道部のエース・乾さんの弟子。 いや、正確には彼の仕事の上の最後の弟子だった。 だったと言うのは、乾さんはその課のトップ?になるの嫌がって、もうひとつの課へ 仕上げ課で新しい技術学びに異動したんだって。 ……将来上に立つために色々と学んでるとか。異常な物覚えの良さで許されてるのかな? 少し遠い未来、その辺は知る事になる。
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