就職二年目…春・俺の日々(慶司・19歳)

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それを言うのも…… 仕上げ加工課の機械は特殊なのが多く、現在は乾さんが班長しつつ担当者なのが、 最新機「M-0011」。 基本的に帳合機でもあるけど、時と場合によっては印刷も同時に行い、しかも!加工までしてしまいNo.まで入るというマルチ機械だ。 それを昨日から乾さん一人で稼働している。 普段は二人体制が基本。 一人なのは、乾さんと組んでいる石井さんが 今年は研修指導員が野球部と言うことで 出かけているからだそうだ。 んで、その二週間他の二直と三直の 同じく機械担当する人達に負担かけずに引き継げるか? ちと、相談していたという。 その辺わかってる二直と三直の担当者4人 大丈夫ですよなんて言ってるから、直長の井野さんは石井さんレベルの社員を代わりに なんて言うけれど、乾さんとしては補助程度のバイトで……、なんて言ってる。 しばし話し合って……バイトをとかなんとか…、じゃ手配するのしないのとか…… で、話が終わった。 どちらかと言うと乾さんが、井野課長に論破した感じだった。 乾さんがどんな立場の人間なのか? 本当にそれはよく知らないけど、印刷課三年目辺りから仕上げ加工も行ったり来たりして基本的な技術学んで、何かの試験を受けて、技術者等級一気に上げたのに、班長以上の立場直長(係長で実質課長)の権利蹴って、 (そのとばっちりは山本さん) 仕上げ加工課に本格的に配属されたのは 去年の秋の事……そう思っていたら既にここの配属だったの知ったのはしばし経ってから。 去年の秋まで俺の指導員をしていたから、印刷課だと思ったのに……。 本当に不思議な立場の人だ。 ちなみに……「班長」という肩書きがついて、 あまり嬉しそうじゃないのは、 一人の技術あるオペレーターでいたいから。 ……変わってる。 そのルックスなんだから、一応大卒なんだから、それを活かす職に……例えば、この会社の本社のバリバリの営業とか、それとは違う 別な職種とか、あるのに……。 剣道したいなら本社にもあるしさ、それなのに、モノを作り出すここにいて……と、 言うよりなんでここにいるんだろ? 乾さんの実家……有名な某企業なのに、 それでこそさぁ……。 育ちの良さは、普段からの振る舞い方。 普段使いの何気ない小物……。 私服も種類によって、良いもの持っていたり着ていたりして、製造業のオペレーターだなんて思えない。 やっぱり、不思議な人だ。 「長瀬、ヒマなら健康ランド行くか?」 乾さんは俺の好きな事よく知ってる。 俺は剣道が一番好きだけど、実は温泉とか風呂屋とかが大好きだ。 バイクの免許取ってからは、防具乗っけて出稽古とその先で見つけた、風呂屋とか健康ランドや温泉巡り。 素敵なお誘いに 「行きます!」 俺は即答した。
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