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バスは途中、東京西工場へ寄って……
さらに、新人・男子15名と、女子5名。
指導員男1名女1名。
合計22名を乗せて走る。
「うわぁぁぁ~!すごい!」
やはり西工場の新人達も、バスに乗った後でもらったホテルのパンフレット見て、
私達Motherの24名と同じ様に歓喜の声をあげた。
「どうだァ?すごい楽しみだよなぁ?♪」
前方に座る指導員六名が
不思議な笑みを浮かべてる。
でもその笑顔が悪魔の微笑みって事を
私を含めた高校、もしくは高等高専を
卒業して間もない若者たちは気がつくはずもなかった。
気分は修学旅行で、見知らぬ者同士。
Mother31期生と西工場の21期生、同じ年頃の者たちが仲良くなるには時間がかからなかった。
指導員六名が、実に楽しそうに
入社式の説明やらその日の食事やらを
やたらめったらキラキラした事ばかり言うから余計に気が付かなかったんだろう。
世間知らずな若者たちはさらに新しいアイテムを渡される。
それぞれの名前が書かれた手提げの中には
ジャージとゼッケン、そして運動靴。
携帯ソーイングセット。
それが何を意味するのか?
全く考える事はなかった。
とにかく浮かれまくっていた。
バスはいつの間にか高速道路に乗っていて
速度が増していたの気がつくのも
とても遅かった。
竹田さんに付き合い、私は木崎指導員の斜め後ろの辺り……運転席のある方の列の前列に座っていた。
通路挟んで竹田さんは木崎指導員がいるからだ。
なにかの資料を読むその横顔やら仕草やら
竹田さんは「きゃあ♡」とうるさい。
「ねっ♪ねっ♪グッチィ♪
木崎さんって野球部って
言っていたよね?」
いきなりつけられたニックネーム
山口だから「グッチィ」?
わかりやすい付け方だなと思いつつ、
「あっ!そうだよ
今年のMotherからの指導員
男性は野球部…」
「私…マネージャーしちゃおうかな?」
きゃいきゃい♪してるけど
それはふざけてなくて真面目だ。本気だ。
「着いたら聞いてみよっと♪」
なんて言うけど、どうなんだろうね?
ちなみに西工場の指導員は
男女ともに剣道部。
男性は小西さん、女性は松阪さん。
途中、サービスエリアで休憩に入った時にMotherと西工場の剣道部入部というか入団する事が既に決まってるものが、その指導員に声をかけられた。
この時に、後に親友となる男子、
城島道真と初めて
出会った。
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