就職もうすぐ二年目…冬から春へ…(慶司やっと19歳)

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「お前ら数えでは20歳…だからいいよなぁ!」 グラスにめいいっぱい注がれる泡立つ 麦酒(ビール)。 今年成人式の社員は、それぞれの地元の成人式に出席する者もいれば、俺の様に会社の成人式 (これは工場だけの行事) だけの奴もいる。 俺は、親父が写真家なだけに張り切ってるから、新しく仕立てたスーツで写真だけ撮りに里帰りしたけど。 それらが終わったとある日の事。 「とにかく…おっめでとー! 長瀬くん!小泉くん!古畑くん!」 陽気なオッサン…いやいや先輩、山木さん(山木夫人の旦那。技術課のリーダーで夜勤もこなす。タフな人)が、うぇーい!と陽気にはしゃいで、何度も何度も乾杯しまくる。 「山木さん、嬉しいンだな〜 今回は脱落者無しでここまで来たから」 俺の隣で乾さんはうっすらと笑む。 実業団と言っても学校の部活の楽ちん版と言った方が正しい。 メインの仕事して、稽古日に稽古する。 時には有志募って、自主的に稽古する。 仕事と稽古……。 両立が出来なくて、退部する者がここ何年かあったらしい。 俺達30期のひとつ上の堺さん。 彼の時もやはり数人いたそうだ。 両立出来なくて、あるいは選手であること諦めて退部届け出して、一般社員へとなっていく。 「楽しいけど、厳しい…」 ちなみに女子部員は、不思議と1年持たずに辞めていく。 それは乾さん達のあとの世代の話で、 「乾さんにこっぴどくフラれた」 とか 「剣道まっすぐに考えてる女ほど 社会人になって色々と華やかな世界知って 剣道自体を辞めてしまう…」 とかでなんだかなぁと思う。 そういう事で、女子部員は山木夫人一名だ。 成人式が終わったとある土日にかけて、ウチの剣道部は毎年この海沿いの温泉旅館で 派手に新年会をする。 美味い海の幸の料理と美味い酒と宴会芸の一次会。 二次会は、若い先輩達はさらに上のOB達に誘われて、ストリップやら風俗やら、出かけていく。 これは、独身の人間の話で、既婚者の先輩達は奥さん裏切る真似はしない。 その辺のところ、なんか安心してる俺がいた 「奥さん泣かせる奴は最低だよ。」 カラオケボックスで、1曲歌い終わった山木さんが水割り片手に笑う。 「英美ちゃん命!だもんナ!」 その英美さんは、女性社員一人はねって とかなんとか言って今回はおやすみ。 「二人にイチャイチャ見せつけられなくて よかったぜ!」 皆笑っていたっけ。 この中のメンバーに乾さんがいる。 それはなんだか前々からで 同期の四人と一緒に、ここで有名なストリップ劇場へ行くことパスしていた。 理由は、「去年見たから」。 裏の顔知ってる俺は、女の裸なんて見飽きてるから行く必要無いんだな~、なんて勝手に解釈していた。
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