就職二年目…春・俺の知らない事(慶司・19歳)

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昼飯を終えたあと、俺と乾さんはお惣菜の礼を言い食堂を後にした。 食後の一服は喫煙出来る所へ向かう。 紙などを取り扱う製造ならではで、工場の外にある。 それは、1階のシャトルバス停留所兼休憩所。 東館の屋上体育館と部室棟の中庭のベンチの所。 東館屋上体育館へ向かう階段の頂上にある自販機コーナー横の喫煙所。 男性が多い会社ならではだ。 それなのに……俺達は部室棟の屋上にいる。 喫煙所じゃない所だ。 自販機コーナーで缶コーヒー買って、ついでに、空き缶ひとつ持って部室棟2階からの鉄のはしご上がるとそこには先客がいた。 現在の俺の上司の山本さんと、試験受けて日勤勤務になろうとしてる現在は1チーム仕上げ加工課の川島さん、石野さん。 同じく、1チーム印刷課の鈴木さん。 ここは、剣道部のスターの五人の密かな溜まり場だった。 「えぇ…?」 乾さん達の話に俺は咥えていたタバコを落としそうになった。 「皮肉なもんだな… とてもおっかない指導員 そいつがいなくなったら… 男女共に節操無くてな… …無理もない…男女共にお互いに 興味持つし…そういう事してみたい そんな欲望の塊の時期だ… その時期に、あまり経験ないヤツらだ なべさんの指導でも過酷な鍛錬が 一般的な新人にゃ…種の保存しないと なんて変な生命の本能的ナもん… 働いちまったのかな?…」 普通にサラッと乾さんはそう言って、タバコを吸う。 柔らかな煙が立ち上り空に消えていく……。 「そんな綺麗事じゃねぇよ~」 カカッと、山本さんの笑い声の後ウンウンと三人が頷いて、乾さんと川島さんは 「バカ」と言う。 「い…乾さんっは!…そんな事 同期の女の子達としちゃったんですか!」 ばっと出た言葉はこれだった……。 だって、乾さん研修合宿でもモテていたの聞いてる。 「アホか……」 やれやれとため息な乾さんはもう一度、煙草を吹かした。 ゆらりゆらりと立ち上る煙。 また空に消えた。
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