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うちの会社はけっこう休暇多い。
誰かのお土産が、よく中央事務所のテーブルに置かれる。
今日のお菓子は、S県名物うなぎパイと、 コッコ。
コッコとは、一口サイズの小さなカップケーキだ。卵色のノーマルと、抹茶味の二種類が置いてある。
N県からS県に嫁いだ親戚がいる俺には
お馴染みの美味しい菓子だ。
工場長が全ての部署に土産として配ったものだ。
俺も印刷課で食ってるし、貰ってるからいらないですと言ったけど、
「若いんだから食えっ!大きくなれないぞ!」
「それ以上でかくなったら怖いって…
松岡みたいに細けりゃあ多少違うけどよ」
なんて勧められたのでいただく。
すると、そうそう食え食えとにこやかに笑う。
ここの人たち笑うの好きだよな。
何してる?と聞かれたから、
「稽古相手探してる」なんて言うと
はぁ?と言われる。
けれど…この人たちなら平気というか、乾さんならなんて思って事実を言うと…
「弟子は師匠に似るって言うけど
そうだなァ~乾っ!」
ここの人達は俺と川島さん以外、乾さんの裏の顔を知らない。
社内外の女子達に、羨ましい位にモテるくせにクールに跳ねのける仕事一筋、剣道一筋の堅物…そう思っている。
「……まぁな…」
うっすら笑んでマグカップ傾ける乾さん。
なんとも言えない顔して口角上げる川島さん。
甘いもの取って一息の後、テーブル自体キレイにして解散した。
二直と三直のお菓子はわけて各チーム用の菓子入れに。
一直の1チームで配って残ったぶんは、1チーム用の菓子入れに。
その辺は仕上げ加工のルールらしくて、印刷課の早い者勝ちとは違うのは羨ましい。
「あぁ!いたっ!乾っ!」
帰ろうとしたとこで、事務所にすげぇ勢いで入って来た人がいた。
それは1チームの直長(係長)兼任の日勤者・井野課長。
(現在、交代勤務の仕上げ加工課1チーム
その席が空席…その理由は乾さんにあると聞く)
「お前んとこの人員の事なんだけどな
やっぱり、俺は思うのさ…」
「いや、井野さん…俺の所は補助程度の
バイトくんいりゃ…二週間は凌げる
そう言ったはずですが?」
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