第4話 優しく押してね

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 髪はぼさぼさで、ところどころ髪がはねている。  寝癖の様に見えるが、これは八本の角が髪に現れたものだ。  だが今は角は折れている為、はね方にあまり元気が無い。  目の下にうっすらと見えるクマが不健康そうな印象を与えている。  人化の術とは、なりたい人間の姿に自在になれるわけではない。  あくまでも妖魔としての元の姿や意識がベースとなって表れるのである。 「大王様、相変わらず不健康そうッスね」 「まあ、さっきボコボコにされたばかりだから、健康じゃ無いけどな」 「クマがひどいッスよ」 「ふふふ。暗黒騎士君、大王とは実はとっても大変な職業なのだよ」  人化を終えた二人は通路を歩き出した。  通路の左右にはいくつもの照明が取り付けられており、明るく通路を照らしている。  妖魔帝国は自前の発電施設を持っているのだ。  その為、例え地上が停電になろうとも、妖魔帝国が停電になる事は無い。  しばらく通路を歩くと二人の足が止まった。      壁には赤いペンキで「A-4出口」と書かれており、そのすぐ横には地上へと続く縦穴が伸びている。   これは妖魔帝国に複数ある、地上と帝国とをつなぐ出入口の一つだ。
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