第1話 激闘の果てに

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「妖魔」  古の時代より、人々から恐れられ忌み嫌われていた異形の存在達。  ある者は、稲妻を自在に操り、  ある者は、大空を自由に駆け、  ある者は、その怪力で山をも砕いたという。    ここは地球の地下深くに存在する、妖魔帝国の心臓部、大王の間。  先程まで妖魔帝国の命運をかけた戦闘が行われていた場所である。  床には何千という無数の妖魔達が倒れ伏している。     辺りはしんと静まり返り、物音ひとつしない。    大王の間にある見事な装飾を施された柱の数々は、大半が折れ、崩れ落ち、この場所で行われた戦闘の激しさを物語っている。  奥に鎮座している巨大な玉座の横には、その玉座に座るに相応しい巨躯が天を仰ぐ様に倒れている。  その妖魔は、四本の禍々しい腕を持ち、カラスの濡れ羽の様に艶やかに光る巨大な翼を持つ。  巨大な体躯には無数のアザが浮かび、頭から生えていたであろう八本の角はその全てが折られている。  下あごから上向きに生えていた、鋭く強靭な二本の牙も今は無い。
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