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深呼吸をする妖魔大王と暗黒騎士。
「じゃ、いくぞ。用意はいいな?」
小さく頷く暗黒騎士。
「1、2の3っ!!」
意を決して上を見上げる妖魔大王と暗黒騎士。
視界の先は真っ暗である。
部屋の電気は消してあるはずなので、暗いのは仕方ない。
すると暗黒騎士が何かに気付いたのか驚いた声をあげる。
「あれ? 星が見えてないッスか!?」
「えっ!?」
暗黒騎士の発言の内容を一瞬理解できず、眼をこらす妖魔大王。
通常であればアパートの天井が見えるはずである。
だが暗黒騎士の言葉通り、確かに妖魔大王の目には満天の星空が映っていた。
これはまずい、と妖魔大王は焦る。
星が見えるという事は一階の天井はおろか、二階を突き抜け屋根まで破壊したという事だ。
怪我人も出ているかもしれない。
そう考えると、妖魔大王は縦穴から一瞬で飛び出した。
その後を追う様に暗黒騎士も飛び出す。
そして地面に着地をし、アパートの被害を確認する二人。
だがあまりの予想外の出来事に二人は絶句する。
二人が立っている場所は「うれし荘102号室」ではなく、見渡す限り緑が広がる、草原のただ中であったのだ。
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