第5話 地上へ

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「ここはどこ?」  妖魔大王がやっとの思いで言葉を絞り出す。  草原には背の低い木がぱらぱらと生えており、夜空には満天の星空が輝いている。  地平の向こうには雄大な山脈が連なっているのが見える。  そして、二人から少し離れたところには、先程飛んでいった木の扉と、三メートルはあろう大きな岩が転がっている。  どうやら扉の上に乗っていたのはこの岩の様だ。  地面に落ちた衝撃で真ん中から二つに割れてしまっている。 「核戦争でも起きたッスかね」  暗黒騎士も事態を飲み込めずにいた。 「アフリカのどこかかな?」  妖魔大王は、昨晩寝る前に見た大自然チャンネルを思い出していた。  何となく似たような風景だった気がする。 「グルルル」  と、不意に唸り声が聞こえてきた。  二人の周りをオオカミの様な獣が、群れをなしてとり囲んでいる。 「野良犬か? あれ? 犬って尻尾が三本あったっけ?」 「ハスキー犬ぽいッスね。尻尾は一本のはずッス」 「いや。わからんぞ、人間は改良が好きだからなー」  その獣はオオカミの様な外見をしているが、妖魔大王の言う通り尻尾が三本生えている。  「サードウルフ」と呼ばれる魔物である。  妖魔大王達との距離をじりじりと詰め、包囲網をじりじりと狭めていくサードウルフ。  今にも襲い掛からんと二人のスキを窺っている。  しかし、先に動いたのは暗黒騎士であった。
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