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暗黒騎士が腰の魔剣に手を掛けた。
「わーまてまて! 今のはお前を試したんだよ! ほんの冗談だよ、冗談」
妖魔大王が慌てて暗黒騎士をなだめる。
「じゃ正解を教えて下さいッス」
詰め寄る暗黒騎士に対して、妖魔大王は一つ咳ばらいをし、話し始める。
「魔法少女が帰った後の大王の間で、ものすごい閃光と揺れがあっただろ。
「あー確かにあったッスね」
「あの直前にな、なにやら凄まじい魔力が膨大していくのを感じたんだ」
「へー。つまりそれが原因に繋がると」
「うむ。多分だが、あれは膨大な魔力を暴発させて、時空を破壊し、強制的に対象を異世界に転移させるという禁断の術ではないかと思う」
「そんな技があるッスか!?」
「ああ。先代の大王の時に一度だけ似たような事があったそうだ。その時は未然に術を防ぐことが出来たそうだが……」
妖魔大王も母親から話でしか聞いたことが無い。
父親と伝説の魔法使いとの戦いを寝る前によく聞かされていた。
「帝国ごと異世界に来たってわけッスか。なるほどー」
そう言うと暗黒騎士が右方向をすっと指差す。
「じゃあ、あそこに見える「あれ」も一緒に転移してきたんスかね」
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