第6話 味一

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 うん?  妖魔大王は暗黒騎士が指差す方向に目を凝らしてみる。  闇夜に隠れて良く見えないが、何かあるな。  四角い?  上に看板?  何か書いてあるな……。  中……華……? 「げっ!! 味一じゃん! あれ」  驚愕の表情で叫ぶ妖魔大王。 「やっぱ、そうッスよねー。地上のあの辺一帯の建物も転移して来てるッスね」  味一以外にその周りの見知った建物が、地上にあったそのままにいくつも建ち並んでいる。 「建物だけならいいんだがなあ」  人間を巻き添えにする魔法少女など妖魔大王は認めない。  妖魔大王の心には静かな怒りの炎が宿っていた。  その時背後で悲鳴が聞こえてきた。  「きゃーーーーっ!!」  女の悲鳴である。  その跡には何かが崩れる音。  馬のいななきも聞こえる。 「味一の確認と悲鳴どっちッスか」 「もちろんこっちだ!」  妖魔大王は悲鳴のした方へ走り出していた。
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