第1話 激闘の果てに

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 彼こそが強大な力にて、千年もの長きに渡り、妖魔帝国を統べてきた妖魔大王である。  今、この場所には既に一切の生命が存在しないかの様に思われた。  と、妖魔大王の額にある第三の目がうっすらと開く。  そして、右…………左…………と、非常にゆっくりとした速度で周りの確認を始める。  しばらく周りを確認すると、その巨体からは想像も出来ない小さなささやく様な声で、妖魔大王が呟く。 「……あいつら……帰ったか?」  修学旅行で見回りに来た先生に、寝たふりをする生徒の様である。 「……そうみたいッス」  どこからともなく返事が返って来る。  これまた蚊が鳴く様な小さい声である。  「そうか」  それを聞いて妖魔大王はゆっくりと慎重に上体を起こし始める。 「ふう。いたたた」  横にある玉座の手すりにつかまりつつ、なんとか立ち上がる妖魔大王。  そのまま中腰の姿勢で玉座の前まで移動をする。 「あー。よいしょっと」  ドスンと玉座に座る妖魔大王。  やがて床に倒れていた者達も、もぞもぞと次第に動き始めた。 「ひどい目にあったな……」 「うわー血が」 「痛かったねー」  全員死んだフリをしていたようだ。
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