第8話 アメちゃん食べるかな~

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「母親が殺される光景を見ずにすんだのが、せめてもの救いだったな」 「あんな事するのはマジ、人間だけッスよ」  暗黒騎士が吐き捨てるように言う。 「だよな。なんで種族として、あんなに善悪の幅があるんだろうな」  妖魔大王も様々な人間がいる事は知っている。  勇者と呼ばれる人間にも会ったし、悪魔と呼ばれる人間にも会ったことがある。  妖魔大王にとって、それはとても不可思議な事に思えた。  種族としてみた時には、だいたい善悪どちらかに片寄っているものだ。 「じゃ、わしはこの子を連れて帝国に帰るから、お前は「味一」を見に行ってくれ。建物だけならいいんだが、人がいたら保護してやらねばいかんからな。帝国に戻ったら応援に何人か寄越すから頼むぞ」 「OKッス。じゃ大王様も気を付けて」 「おい。ポケットから手を出しとけよ。転んだ時危ないぞ」 「はいはいッス」  そういって暗黒騎士は暗闇の中に消えて行った。 (異世界に来て、もしかしたら人間と共存できるかもと思ったが、何も変わらんのかも知れんなぁ)  妖魔大王はふぅとため息をつくのだった。 ◆
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