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縦穴を降り、A-4出入口へと戻ってきた妖魔大王。
両手には大事そうに少女を抱えている。
少女はもう目が覚めている様だ、ぎゅっと妖魔大王にしがみついている。
「ちょっと揺れるけど我慢してねー」
少女に優しく話しかける妖魔大王。
腕の中の少女は小さく小さく頷く。
(さて、まずは医務室かな。Drはいるかな?)
妖魔大王は急いで医務室へと向かう。
ところどころにある「←医務室」の案内プレートに沿って進む。
妖魔大王自身は、今までほとんど医務室のお世話になった事が無い為、道順はうろ覚えだ。
(わしの角と牙も診てもらおうかなー)
妖魔大王はそんな事を考えながら、ふよふよと宙を漂いながら医務室を目指す。
そして何度目かの通路を曲がったところで、ばったりデスクイーンと出会った。
「あら大王様、こんばん……ひっ!!」
デスクイーンは震えた声でそう言うと、妖魔大王が抱えている少女を指差した。
「大王様。あなた、とうとう誘拐をっ……!!」
「ちっ、違うわ!」
必死に否定する妖魔大王。
しかしデスクイーンには、幼い子に目隠しをして連れ去って来た様にしか見えない。
わなわなと震え、憤怒の表情で妖魔大王に詰め寄るデスクイーン。
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