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「うるせえな!だれだよ!こんな夜中に」
寝入りばなを起こされてカッとした中原が、呼び鈴と連動したモニター画面を見た瞬間、彼は自分の目を疑った。
モニター画面に映っているのは、グレーのフード。そしてそのフードに覆われた真っ黒い何か。普通そこには人間の顔がある筈だが、今は漆黒の闇が広がっているだけである。
(うそだろ……)
画面を見たまま、中原は身動き出来なくなった。額から冷や汗が流れ始める。次の瞬間
「ナカハラケンイチサーン!ナカハラケンイチサーン!」
扉の向こうで中原の名前が呼ばれ始めた。ドアノブがガチャガチャけたたましく回される。呆然としている彼の目の前で、サムターンがゆっくり回り始めた。こいつ、入ってくる!
「うわあーっ!」
パニックに陥った中原は、扉に背を向けて走り出し、そのまま五階の窓を突き破って落下した。
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