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色々のにおいが混じった喧騒を田中は足早にすり抜けていく。
人混みはうねうねと常に少しずつ形を変え、においを混ぜ、色さえ主張しているように感じる。
この街に住む怪物のようだ。
毎朝そう思いながら眺めているうちにそうとしか思えなくなってしまった。
昔大きい怪物をやり過ごしながら宝物を探すゲームをやったことがある。
この世界の宝物は何だろう。
どこを探せば、何を見つければクリアになるのだろう。
信号の向こうは人いきれで遠くが霞んでいた。
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