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「川喜田様…… 見ないで」
自分の辱められている姿を見られたくない一心から出た言葉であった。私のその言葉を聞いて黒川は大笑いをした。
「はははは! 誰にでも股を開く売女風情がよく言うわ。どうだ、こうしてよがる貴様のお気に入りを見ればわかるだろう! 所詮こいつは誰にでも股を開く売女に過ぎないのだ!」
こうして黒川も果てた。しかし黒川は抜き出す事はなくそのまま続けた。
「もう、勘弁して下さいませ」
私は黒川にやめるように懇願した。
「ふん、売女の割に締め付けは良いと来ておる。そんなに想い人の前で見られるのが嫌か」
私の事など構わずに続けた。私はその間、ずっと見つめていた川喜田に対して絞り出すような声で「見ないで」と懇願した、川喜田は言われる度に首を逸らすも、それからすぐに「しっかり見ないか!」などと黒川が言うやり取りを何回も繰り返した。
線香がもうじき尽きようと言う刻になりやっと「コト」が終わった。終わると同時に私はぐったりと布団の上に倒れ込んだ。
「おやおや、お疲れですかな」
黒川は倒れ込んだ私の頭をよしよしと撫でた。
「今日は良かったぞ、近い内にまた指名してやるぞ」
「は…… はい…… ありがとうございます」
心の中ではもう二度とこの男には抱かれたくないと言う気持ちで満たされていた。言葉と心が一致しないとはまさにこの事であった。
「よし、儂はもう出る。外で待っておるぞ」
そう言って黒川はさっさと着替えて茶屋の外に出て行った。姿が見えなくなると同時に川喜田は私を抱き起こした。
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