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「どうして私にこのような話をしたのですか」
「お主が可哀想に思えたのが一番かな、儂がその事実を知った時に、事実を知らずにあの男を愛するお主が哀れに思えてな。それに、川喜田が嫌いでのう! あのような腐れ外道の田舎侍をこれ以上幕府の剣術指南役に据え置いておく事は許されん」
「左様でございますか」
「儂から言える事はこれだけだ。上様に種子島の訓練をあてがっておけば、川喜田に暇が出来るだろう。そうすれば奴はノコノコとお主の元にやってくる。その時を狙うのだ」
結局私は返事をせずに江戸城から去った。そのまま茶屋に帰り興奮冷めやらぬ中眠りに就いた。屋根の上で鳴くカラスの声で目を覚ました。起き抜けに番頭の元に向かうと幕府の使者が何やら話しているのが見えた。幕府の使者が店から去ったところで、番頭が私を見つけて手招きをした。
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