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川喜田は神妙な面持ちで私を見下ろした。そしていつものように優しく抱き寄せた。
「ならば拙者はどうすればいいのか」
「分かりませぬ…… どうしたらいいのか分かりませぬ」
「腹を切り償えばよいのか」
「あなたにはいなくなって欲しくありませぬ…… 憎いはずなのに」
「分かった、ならば残りの生涯をあの村の償いの為に使おう」
「それはとても辛く長い道ですよ」
「分かっておる。我儘とは思うが、その長く辛い道を共に歩いてはくれぬか? そなたにこの償いの道を見届けて欲しい」
「本当に我儘ですね、自分を憎んでいる相手にそんな事を頼むなんて図々しいにも程があります」
私はこの時点で笑顔になっていた。心はまだ憎くて憎くて仕方無かったが自然に溢れた笑顔であった。
「この償いの道は長くて辛い道ですよ。そうしたら着いてく僕しわくちゃのお爺ちゃんになっちゃいますよ。それでも愛してくれますか?」
「当たり前だ」
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