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耳が痛くなるような静寂の中を、日々の慣れと夜目だけで部屋まで戻る。
ポケットに入れっぱなしのスマホは、まだ震えない。
もはや、何のために起きているのかはどうでも良い。今更布団に包まるのが何となく嫌なだけで。
持ってきた糖分を半ば無理矢理摂取して、諦めて眠りにつこうとする頭を起こした。
午前四時五十分を回った。壁の時計を睨む目もそろそろかなり重い。
半分だけ閉まっていたカーテンの隙間、少しだけ開けた窓から、柔らかく冷たい風が入り込む。外はもう夜ではなかった。
一昨日のメッセージを見返して、昨日がその日だったことを確かめる。
彼女は確かに電話をすると言っていたが、電話どころかメッセージの一つも来ていない。
これにイライラできるほどの元気はもうなかった。
ただ、脳裏に遠い街を思い描きながら、閉じてしまっていたテキストをぺらぺらと開いた。
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