トイレ

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「なんでもいいんですか?」 確認も兼ねてもう一度質問をした。 神だからどこまでできるのか、神にも限度があるのか。 『なんでも構わん。早くしろ』 なんでも可能らしい。 では… 「えっと"コピー"の能力でお願いできますか?」 俺は考えた末にそう言った。 コピーの能力というには色々と理由がある。 すると神様が大きく頷いた。 『良かろう。お主にその力を与えよう。』 いとも容易くそう言った。 そして俺に手をかざすと、その手が光り輝いたと思えばすぐに弱まり、消えた。 『では頼んだぞ。また会おう』 そう言うと光を纏い、天へと登っていく。 「えっ!?た、頼みというのは何なんですか!?」 俺の訴えも儚く、神は空へと消えて行った。 「頼みごとって…」 聞いていない。俺の願いだけを一方的に叶えてくれた後にそそくさといなくなってしまった。 異世界に来た経緯も掘り下げて聞きたいところではあるが、こちらからのアクセス方法がない。 また森のざわめきがこの空間を満たす。 改めて周りを見るととても癒される場所だ。 「あ、そうだ」 ふと思い立ち、先程神がいた草むらへと向かう。 「…」 見なかった事にしよう。 それが一番良い気がする。 俺の排泄物に足跡が残っていたのだ。 もう何も言えない。
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