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バッタの脚力をコピーし、利用した。
だが使い方なんて知らないし、とりあえず熊にキックだ!と思って地面を蹴ったら予想以上の力で体のバランスなんて保てず、勢いそのままに熊に激突した。
腰の骨が折れてないのが不幸中の幸いだと思っている。
腰を抑えつつ立ち上がると、目の前には先ほども見た化物熊が俺を睨みつけていた。
「やばい」
口にする以上に今の状況はまずい。
ようやく人の言葉が理解できたのに、今はこの場をなんとかしなければ。
いや、待て、この跳躍力を使って逃げた方がいいのではないか?
「貴様!どこの者だ!?」
後ろの騎士が何か言っているがそれどころではない。熊の一挙手一投足を見つめていた。
「ガアアアァァァァァ!!!」
「せいっ!」
唐突に飛びかかってきた熊に、俺は宙返りをしながら蹴り上げ、サマーソルトキックを喉に直撃させた。
それだけで終わればカッコイイのだがそうも行かず、空中でさらに2回転した後に、俺は頭から地面に着地した。予想通りだ。痛い。
起き上がると熊は大の字で倒れており、ピクリとも動かなかった。喉あたりから血が流れているのを見ると仕留める事ができたらしい。
恐怖に打ち勝てた。こんな恐怖、現代では到底味わえないだろう。味わえる訳がない。
しかしこの恐怖に打ち勝てたのには一つだけ理由がある。
今までずっと握りしめていたトイレットペーパーのおかけだと思っている。
「貴様!何者だと先程から聞いているのだぞ!答えろ!」
騎士4人が俺を包囲し、矛先を向けていた。
俺はイラついた。
なぜ少なからず助けようと思った相手から刃物を突きつけられているのかまず説明して欲しい。
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