「一番怖い話を、聞いて貰えませんか…」

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「怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」   ニーチェ 怪談の元話となる、いわゆる「怪談ネタ」というものを追い掛けていると、時折不可思議な事象に遭遇する事がある。他人の怪異を追い掛けていた筈の自分が、いつの間にかその怪異の当事者となってしまっているのである。これは一体どういう現象なのだろうか?私は過去にそんな例が二、三あったのだが、これから紹介するのは、それの最たるエピソードである。様々な理由で怪異を追い掛け回すのは個人の自由であり、その探究心は大いに結構な事だと思う。 但し、怪異の側も、こちらをじっと監視していて、隙あらばこちらの喉元に喰らい付こうとしているという事を、忘れてはいけないとも考えている。 私の知るある方が、かつて、こんな事を述べていた。 怪異というものは、 人間に気付いてもらうために、起こっているのではないのだから、と。
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