「一番怖い話を、聞いて貰えませんか…」

3/6
前へ
/22ページ
次へ
私がH美さんに初めてお会いしたのは、2008年晩秋の事。 当時通院していた整骨院の院長先生より、携帯に一通のメールが届いたのである。 「面白い人がいるけど、会ってみる?」 私が異談蒐集を行っている事を知っている先生が、通院している方の中に心当たりがあり、話を振ってみたら、とても興味を示したそうで、是非ともお会いしたいと。 幼い頃から霊感が強く、ほぼ毎日の様に幽霊を見ているそうで、施術中に先生が聞かされた体験談だけも二つや三つではきかないという事である。こちら側でも願ったりなので、先生より本人の携帯のメールアドレスをお聞きして、直接連絡を取ってみるという流れになったのだが、いま考えれば既に怪異は、この時点から始まっていたのかも知れない。 というのも、H美さんの携帯に何度メールを送信しても、受取人不明の表示と共に、メールが戻って来てしまうのだ。機種同士の不具合でもあるのかと、妻のメールから送信してもまったく状況は変わらない。 (これは、怪しまれちゃったかな?) 初めは取材を快諾する態度を取っていたものの、土壇場になってから尻込みされるケースも数回は経験している。H美さんもその方達と同じく、やはり気が変わられたのかも知れない。 ところが整骨院を訪れると、 「あれ?籠さんから連絡ないって、H美さんがこぼしていたけど、まだメール送ってないの?」 と院長先生。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加