第2話:青丹吉の読み方

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第2話:青丹吉の読み方

万葉集の枕詞『青丹吉』の読み方を考えてみます. ただし上代特殊仮名遣は間違いであると仮定しています. 青色と赤色が混ざると紫色になるので、『青丹』と書いて『むらさき』と読ませたいのだけれども、そのままでは『あおあか』とも読めてしまうので、『吉(き)』と云う文字を送り仮名として送る事により、『青丹吉』を強制的に『むらさき』と読ませているのだと思います. また『青丹吉』が奈良に掛かると云うのは、奈良の土地は藤原一族の領土なので、藤原の土地であることを色によって形容して、敬意を示したのだと思います. しかし、藤原と云う字を直接書くのは恐れ多かったのでしょう.そこで、藤の花色にかけて『紫色の奈良の土地は藤原一族のものである』と云うことを遠回しに表現するため、奈良について言及するときに『青丹吉』を付けたのだと思います. したがって、その読み方は『むらさき』です.その後、更に遠回しに、若しくは、既に読めなくなっていたので『青丹吉』を『あおによし』と言うようになったのだと思います. 参考例として『青丹吉』の入っている歌を2首、示します. まず原文を引用しますと、 3236 空見津 倭国 青丹吉 常山越而 山代之・・・(後半省略) 797  久夜斯可母 可久斯良摩世婆 阿乎尓与斯 久奴知許等其等 美世摩斯母乃乎 引用を終わります. 『青丹吉』を『紫』と解釈して私訳してみます. 3236 空を見つつ 大和の国の 紫の(藤原一族の) 奈良山を越えて 山城の・・・(後半省略) 797  悔しかも かく知らませば 紫の国の内を(筑紫国のうちを) 悉く 見せましものを 以上より、繰り返しになりますが、『青丹吉』の読み方は『むらさき』であると思います. 注:アラビア数字は万葉集の歌番号です. (了)
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