私たちはそれを知らずに恋をした。

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名前を知る前から好きだった。 初めはちょっとカッコいいなって印象だったけれど、同じ名前だって知ってから益々気になってしまって── 後は坂道を転がる様に気持ちは大きくなっていった。 (彼は私の事をどう思っているのだろう) 其れなりに話しているから嫌われてはいないと思うけれど… なんとなく日々、そんな事を考えてしまう私だった。 「おい、待てよ!」 「!」 ある日の放課後、昇降口を出て直ぐ、急に腕を掴まれた。 「な、なんですか?!」 知らない男子が私を凄い形相で睨んでいた。 「なんでずっと無視してるんだよ」 「は?」 何を云っているのか解らない私はただ呆然と其の男子の顔を見ていた。 「ずっと手紙、下駄箱に入れてたのになんで約束の場所に来ないんだよ!馬鹿にしてるのか?!」 「!」 いきなり平手が私目掛けて振り下ろされる。
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