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目を覚まし、ベッドのすぐ横にある窓から外の様子を伺った少年は、そう判断する。
ここ最近、毎日のように傘が必要になる...と昨日も呟いたような気がする言葉を口にする。
ーーー傘なんて窮屈だしあまり好きじゃないのに...ーーー
本当はこんなに美しい青色をした、海の世界で傘なんて必要はなかった。
だけど少し前から、海の上からいろんな<モノ>が降ってくるようになった。
その<モノ>たちは、海で生きる者には害があると誰かが言っていた。
それを聞いてからは、<モノ>が降ってくるとわかった日は、仕方なく傘を使うように
なった。
扉を開き、洞穴から身をのりだす。もしかしたら、窓越しに見たから<モノ>が降って
いるように見えただけかもしれない。
淡い期待を抱きながら、広大な海を直に見渡してみる。
しばらく見渡した後、少年は小さくため息を付き、好きではない傘を手にした。
外に出ると同時に傘を開く。
ーーーやっぱり、傘は好きじゃない....ーーー
一人そう呟き、少年は窮屈さを感じながら歩みだす...
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