ラピスラズリ

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ラピスラズリ

 試験結果の書かれた細い紙片を担任の先生から受けとると、やっぱりさんざんな数字が並んでいた。  唯香も思わしくなかったらしく、昼休みはふたりで「来年どーしよー」を繰り返す。  こうしていると少し気持ちが軽くなる、と思いながら、唯香がときどき、うわの空になっているのに気づいた。 「なんか、あった?」  唯香は、一瞬固まったけれど、みるみる顔を赤くして、うん、と頷く。 「坂元先輩と付き合うことになった」 「ほんと!? うわー! おめでとう!」  ずっと憧れていたサッカー部の副キャプテンだ。唯香の照れる顔が可愛くて、思わず抱きつく。    嬉しくてドキドキする一方、もうひとりの私がツンツンと肩をつつく。 『てことはさ、唯香とばっかり遊ぶわけにはいかないよ』 『あんた、この夏、ひとりだよ』  心のなかに、もう一匹の「どーしよー」が出現する。 ◇  懸念は現実のものになった。  唯香はデートに忙しく、私に付き合う余裕がなさそうだった。  自宅にはおじいちゃんのことを愚痴りたいおばあちゃんがしょっちゅう来るので、図書館に逃げ込む。  涼しいし、お金がかからない。     
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