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バイトでも探そうかとスマホの画面をだらだら見ていて、そうだ、と思い付いた。
ロワゾ・ブルーでバイトさせてもらえないだろうか?
ひとりでやってるって言ってたし。
通販サイトを検索すると、ショップカードのデザインと同じ画面が出てきた。
このページの向こうに青柳晶がいる。
私は簡単なメールを書いた。
送信のアイコンは小さな紙飛行機。
そっと押すと、私の指から消えて、光の差さない空へ飛んでいった。
返信のないまま、数日が過ぎた。図書館が休みの月曜日、ぼうっとするほどの暑さのなか、私はロワゾ・ブルーの最寄り駅まで来てしまった。
青柳晶は怒るだろうか?
でも、怒られて追い返された方が、メールを待つより楽だ、と捨て鉢な気持ちになっていた。
うなじが焼け焦げそうな熱波を浴びながら、迷うことなく店まで着いた。
シャッターは相変わらず閉まっている。
その横を通り、玄関チャイムの無い引き戸をノックした。
「こんにちは!」
家のなかは静まり返っている。
「青柳さん! 青柳晶さーん!」
顎から汗を滴らせ、ノックを繰り返していると、曇りガラスに人影が映った。
ガラリと扉がスライドし、裸足の晶が立っていた。
ぼさぼさの髪に、パイル地のTシャツと短パン、白い脛が長々とつき出している。
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