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「まあ可能だよって話さ それよりこの前君が話してたアクセ……」
「ね、ねぇ!」
美香は自身の口を片手で抑える。思った以上に大きな声が出た。人形が首を傾けるとしなだれかかるように艶やかな金髪が垂れる。
「あ、その……さっきの話なんだけど それって誰かが死んじゃったりする訳じゃないよね?」
「うん誰かが死ぬってわけじゃない」
「そ、それなら私」
「ただ、認識してもらう必要がある」
「え?」
やや前屈みになった死神の白い顔に陰が伸びる。椅子の音は少しずつその大きさを増していった。
「いやねその結果相手の人生は変わる可能性がある、僅かだけど。君がソレを認識した上で依頼するなら望みを叶えることは可能だよ」
「か、変わるってどういうこと?死ぬってことなの?悪いこと?」
椅子を立ち上がり詰め寄る美香。死神はゆったりと右手を上げ彼女を制する。
「さっきも言った通り死ぬことはないよ。ただ、相手の人生に影響を及ぼす。このことは必ず認識した上で依頼する事、これが条件……というよりルールかな」
掴みかからんばかりだった美香は姿勢を正すと難しい表情を作り椅子に腰かけた。俯いた彼女は床を見つめボソボソと喉を震わせる。
「じゃあ何?悪いってこと?わかんないよ……」
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