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「!!奏多君、これ…。」
絵津子は奏多に携帯を見せた。
奏多は驚いた表情を浮かべた。
絵津子は恐る恐る電話に出た。
「…もしもし?」
『えっちゃん。』
「優ちゃん!?優ちゃん今何処にいるの?」
『えっちゃん。』
「優ちゃん聞こえる?聞こえたら返事して!」
『待ってるよ。』
「えっ!?」
『えっちゃん、待ってるよ』
「どういうこと?ねぇ、今何処…。」
『待ってるよ』
電話はそこで切れた。
「優ちゃん?優ちゃん!」
絵津子は目に涙を浮かべていた。
「絵津子さん?」
「…切れちゃった。」
「優太君はなんと?」
「…『待ってる』って。」
「待ってる?」
「どう言うことなんだろう。」
「…やっぱり、優太君は絵津子さんに自分を見つけてほしいんだと思います。だから、夢に出てきたりしたんですよ。」
「でも、どこを探せば良いの?」
「それは…、残念ながら僕にも分かりません。」
奏多はそう言って下を向いた。
「…私、明日から優ちゃんを探そうと思う。」
「…心当たりのある場所があるんですか?」
「ううん。けど、元からそのつもりだったから。」
「…そうですか。だったら僕も手伝います。」
「…良いの?」
「はい。優太君も絵津子さんも、僕の大事な友達ですから。」
「…ありがとう。」
絵津子はそう言って奏多に笑いかけた。
「ただ、この事は他の人には言わない方がいいと思います。もちろん、優太君のお母さんにも。」
「どうして?」
「こんなこと信じてくれる人なんて滅多にいませんよ。大体はおかしいやつだと思われるか、心配されるか、怒られます。」
「……。」
「これは、2人だけの秘密にしましょう。」
「…うん。」
2人は決意を胸に秘めた。
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