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次の日から、絵津子と奏多は優太の捜索を始めた。
3人で遊びに行った場所、絵津子と優太の2人で遊びに行った場所。
とにかく優太が行きそうな場所をしらみつぶしに当たった。
何日も、何日も。
しかし、有力な情報は得られなかった。
3日目、この日も情報を得ることはできなかった。
2人は近くの公園で休憩を取ることにした。
「はい、これ…。」
「…ありがとう。」
奏多は絵津子に自動販売機で買った飲み物を渡した。
奏多は絵津子の隣に腰を落とした。
「…一体何処にいるんでしょうか。」
「……。」
「…そんなに悲しそうな顔しないでください。優太君が見たら心配しますよ?」
奏多はそう言って絵津子に笑いかけた。
絵津子は力無さそうに笑顔で返した。
「にしても、このままじゃ埒が明きませんね。どうしたものでしょうか。」
そう、来週には私は大学に通わなければならない。
そうなると、中々時間を取ることが出来なくなってしまう。
奏多も通信制の大学に通っているが、そういつも時間が取れるわけではない。
2人の時間がある今週までには、何とかして手掛かりを掴みたかった。
しばらく考えていた奏多は、ふとある考えに至った。
「…優太君って、確か『写真を取りに行く』って言って家を出たんですよね。」
「うん、香住おばさんがそう言ってたけど。」
「…だとしたら、行くところは大体限られるかもしれません。時期的にも見晴らしの良い場所とか。それでいて絵津子さんが見つけてくれると優太君が思っている場所。」
「私が見つけてくれると思ってる場所?」
「はい。もし事件とかに巻き込まれたとして、優太君がそんな危ないことに絵津子さんを巻き込むとは思えません。危険な場所に行ったとしてもそれは同じです。」
「……。」
絵津子は奏多の話を真剣な眼差しで聞いていた。
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