異変

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次の日、絵津子は昨日のこともありあまり寝付けなかった。 「…おはよう。」 「おはよ~う。」 絵津子と違い、絹枝は元気だった。 絵津子と絹枝は朝食を食べながら昨日のことについて話した。 「昨日の地震はスゴかったね。」 「地震?なんのこと?」 「え?あれだけ長い時間揺れてたのに気付かなかったの?」 「長い時間って何時くらい?」 「…0時くらい。」 「その時間だったらトイレをしに起きたけど、揺れてなんてなかったわよ。」 「……。(どういうこと?)」 絵津子は不思議に思った。 朝食を終えた絵津子は部屋の中でのんびりしていた。 大学に通うのは来月からだ。 手続きは済ませてあり、それまではのんびり出来る。 絵津子は優太が行きそうな場所をこの期間に廻ろうと思っていた。 ギィー。 部屋のドアがゆっくりと開いた。 「(可笑しいな。ちゃんと閉めたのに。)」 絹枝は前勤めていた仕事場に行っており、今は誰もいないはずだった。 絵津子は不思議に思いながらも、ドアを閉めに向かった。 ドアを閉める直前、隙間から人が通りすぎるのが見えた。 「!!」 絵津子は驚いて数歩後ずさった。 絵津子は恐る恐るドアを開けた。 見ると、そこには誰も居なかった。 しかし、絵津子はドアの隙間から見えた顔に見覚えがあった。 「(…優ちゃん?)」 それは、小さい頃の優太の顔だった。 その夜、絵津子はベッドで寝ていた。 『えっちゃん。』 「…ん。」 『えっちゃん。』 絵津子は聞き覚えのある声に目を覚ました。 眠い目を擦りながら前を見ると、そこには少年が立っていた。 「…優ちゃん?」 そこにいたのは、朝ドアの隙間から見えた少年時代の優太だった。 『えっちゃん。』 「優ちゃん!」 絵津子は優太に近寄る。 ガバッ。 「ハァハァ…。夢か。」 絵津子は床に目を落とす。 そこにはアルバムが開いた状態で落ちていた。 アルバムには小さい頃の絵津子と、優太が写っていた。
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