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あれ?
私は演劇部部員だ。先輩が引退し、私が部長に選ばれた。正直びっくりだ。頼りないし、決断力もない。これから新入生を迎えるのに大丈夫かな、、、
こんな考えをしてから半年。今はなんとか頑張って部長をしている。
「今日の部活を初めます。担当の人は今日何をするのか報告してください。」
これは私が決めた練習初めの報告だ。演劇部では担当により場所が散らばる。役者は主に柔道場。大道具、小道具は技術室。衣装は家庭科室。などなどひとつの部活でも散らばっていくのだ。なのでその日の目標を予め宣言する事でそれを達成して欲しい。そう思い決めたことなのだ。それなのに、
「大道具です。今日は出来るところまでやろうと思います。以上です。」
こういった感じで全く意味の無い時間になっているのだ。私がした改革は意味が無い物へと形を変えていった。
でも、今日は少しだけ違った。後輩のある男の子が
「きちんと目標を定めて発表しましょうよ。時間を有効活用しましょう!」
と言ってくれたのだ。この一言で後輩に偉そうに言われたという先輩の意地が出たのかちゃんと言うようにはなったのだが、その後輩がそれから少し先輩から軽くイジメのようなものを受けるようになった。後輩に声をかけると
「あの時はみんなにビシッと言ってくれてありがとう。最近どう?」
「いえいえ、部長を支えたかったので!大丈夫です。ありがとうございます。」
「何かあったら遠慮なく言ってね。」
支えると言って貰えてなんだか少しキュンとした。ただの後輩だったのに。たった1度助けられただけだったのに。
私はまだ私の中の小さな気持ちに気づくことが出来ていなかった。
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