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進展
部活が終わってからも遅くまで残って1人で裏方の作業を進めていた。そんなある時、あの後輩が。私の想い人が。帰ったはずのあの子が。戻ってきたのだ。
「部長、一人で抱え込みです。僕も手伝います。」
「え?いいよ、私の仕事だし。」
「そんなこと言わないで後輩を頼って下さい。」
「、、、ありがとう。じゃあこれを任せてもいい?」
「はい。分かりました。」
それから私達はたわいも無い話をしながら作業を進めていった。私にとっては凄く楽しい時間であった。
何日かすると他の後輩も残って手伝いをしてくれるようになり、私達の二人きりの、私にとっての幸せな時間が無くなってしまった。
けれど、少し進展があった。それからは廊下で会ったらお喋りするようになり、前みたいに挨拶だけということも無く。次第に部活の話からテレビの話やスポーツの話へと話題を変えていった。
そんなある日、私は私に仕事を押し付けた子達に急に呼び出された。
「ごめんなさい!私達部長だからって甘えてた。部長を支えるのが私たちの使命なのに。」
「え?どうしたの?急に。」
「後輩達に言われたの。」
「なにを?」
「先輩達最後の公演なのにいいんですか?このままで。悔い残りませんか?って」
「それに、部長だけがしっかりしないといけないんですか?3年生全員で部をまとめるんじゃないんですか?もっと協力的にならないと。って」
「だから、私たち思い直したの。これからは自分達の仕事は自分たちでする。今までごめんなさい。」
「そっか。後輩達頑張ってくれたんだね。」
「え?」
「だってそうでしょ?先輩に向かって中々言えることじゃないよ。感謝しなきゃね。」
「確かにそうだね。」
「よし!じゃーあとは任せた!みんなで最高の引退公演にしよう!」
こうして後輩の手を借りて私達3年生は仲直り出来たのだ。
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