押し上げた部長の高み

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「泣いている子供には甘いものと相場が決まっている」と白い箱を渡されたけど、これ中身が凍ってますか? かなり冷たいな。 「ありがとうございます、あのこれ?」 「明日渡すつもりでいたんだ。冷凍だから解凍するのに冷蔵庫で半日かかる。だから、さっき社長が不在か、おまえに聞いたんだ」 へ? だからなにこれ。 「目を泳がせるな、下鳥。しっかりしろ」 ひい! 「お土産。京都に行ってきたから。イクスカフェの京黒ロール」 聞いた事がある。 有名なところだけど冷凍ってあったかな。 「店に無理言った」 何か、圧があるな。本当にどうしたんだろう。 「いつ渡せるか分からなかったからな。本当は阿闍梨餅にしたかったけど日持ちしないし、下鳥が和菓子を食べるの見た事ないから」 え。 いつも見てくれていたのか? 出張先でも僕の事を考えていてくれたんですか? あなた部長ですよ、部下の事まで考えすぎです。 しかも今は部下じゃない。元・部下です。 駄々こねてるだけの、ただの付き人でした。 「もう流されるなよ。おまえは会社の受付だ。いわば、顔だ。下鳥が俯いてたら社長も会社も空回りだ。俺がここまで導いた責任はある。孤独を感じるだろうが、踏ん張れ。1人じゃないから」
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