押し上げた部長の高み

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「はい、秘書室の下鳥です」 『営業部の坂田です、お疲れ様です』 ああ、坂田主任だ。お久しぶりだな。 『下鳥、元気か? 皆、心配してるぞ』 「ありがとうございます。何とか業務をこなしています。まだ不慣れですが」 『そんな事ないだろ、下鳥。おまえは評判がいいぞ、低姿勢だから。卓屋部長の後ろをついて歩いたあの甘えた社員が、立派に社長秘書か。適材適所かな。ああ、長話だった、ところで明日は社長の出張に同行するのって誰かな? サンプルを渡しておきたいんだ』 ええと。 「経理部の伊藤課長です。営業部を訪ねるように連絡しますか?」 『いや、いいよ。こちらから出向く。ありがとう、失礼します』 「失礼します」 適材適所かなあ? うーんと悩んで口を尖らせてしまった。まずいな、顔がおかしいかも。 「ただいま、下鳥くん」 あ、お戻りだ。 「社長、お帰りなさい。カバンお持ちします。お茶はいかがですか」 「ありがとう、いただこうかな。しかし、慣れてきたものだ。流石、卓屋部長の大事な元・部下。しっかりしている」 いや、甘えて、それを許されていました。 しかもこれからも駄々こねていい許可を貰いました。幸せ過ぎる。 「領収書はいただいていいですか? 計算します」 「おお、ありがとう。よろしく」 お茶を入れていたら「甲斐甲斐しいね。帰社して下鳥くんを見ると安堵する」と褒められた。これ、報告しよう、喜ばれるかな。剛腕な社長と、上手く組めそうだ。頑張ろう。 「社長に褒められたか。良かった。頑張ってるな」 LINEで指定されたお店へ駈け込むと、先に卓屋部長が腰かけていた。 頬杖ついて話を聞いてくれる様が似合うな。こんな姿、するんだな。 あ! また紅茶飲んでる。僕がいないと駄目じゃないんですかね。また眠れないですよ、知りませんよ。 「で、」と卓屋部長が足を組んだのが見えた。前のめり気味。 「週末の社長秘書の予定は? 時間ある?」 「空いてます。幾らでも」 空けますよ、当然です! 「何か見たいものはあるか。食べたいものは?」 「か、考えて提出します」 頬を撫でられた、え、何か不都合がありましたか? うわ、でもすごく、 「卓屋部長、すごくき・綺麗です……見惚れます」 すると一笑された。 「提出された内容を全部通してやるから空欄なしで回答しろ。存分に駄々こねろ。叶えてやる」 おわり ありがとうございました
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