押し上げた部長の高み

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「すみません、有り難い話だとは思いますが」 「迷うよな」 分かってくれるなら。 「でもこんな機会は二度とない。おまえが手を伸ばすなら、届くようにしてやるよ」 卓屋部長と離れるのが嫌だと駄々こねたらまずいな、これだけ僕の事を考えてくれているのに。 まだ、甘えたい自分が情けない。 「ま、1日考えな」 え? 1日しかくれないの? 「……下鳥。泣いてるのか?」 「へ?」 「そんなに嬉しいか」 違います! 「いえ、目にゴミか何か入ったみたいで」と手の甲で拭うと「しっかりしろ」と指で涙を拭われた。 「嬉しいのは分かる」 だから違います! 「竹内さん美人だから。引継ぎが楽しみだな」 あなたのほうが整ってます! 「営業部でこの先どうしたらと迷うだろ。下鳥なら営業も出来ると思うが、社長秘書なんて願っても叶わない大きな役目だから」 圧力凄いな。穏やかな口調だけど、僕にかかるプレッシャーが破壊力半端じゃない。 「この会社の柱は社長だが、その支えというか補助をするんだ。面白いと思わないか」 全然です。 圧力しか感じません。 ああ、これで晩御飯は喉を通らないな。もう、この瞬間から食欲が感じられない。 「俺も毎朝、社長に挨拶しているが」 ん? 「なかなか出来た方だと思う。この会社は一代だ。現・社長が設立した。それだけに剛腕だが柔よく剛を制すと言うだろ、下鳥の気弱な性格が、反面、実は使えるんだ」 はい? 「まあ、普段は強気の癖に駄々っ子だけど」 うわ。 ばれてる、そうだろうな。 「下鳥。おまえの性格なら社長と組める。会社を支えたら?」 だから無理だと。 「俺から押し付けは出来ないが、推薦したいと思うんだ。何も出来ないと足掻くな。おまえは上へ行けるんだ、その力があるんだよ。可能性を否定するな、何もやらないうちに降参したらこの先の人生において悔いが残るぞ」
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